ビッグタイトルになった、今あえてGIANT KILLINGが面白いと言う

2007年の連載開始から今年で12年、既刊50巻になるビッグタイトルとなったGIANT KILLING(ジャイキリ)。サッカー漫画として選手から監督を中心とした「大人の群像劇」を描き出した鮮烈な作品として印象深く、この間、現実でも日本代表が二度のW杯に臨み、サッカー人気と共に大きな存在感を作るに至った。しかし、長く続けば安定こそするが、その安定こそが退屈となりかねないのもエンターテインメントとして悩ましい問題となる。現実のサッカーも根強いファン層を獲得はしたものの、往時の熱気は忘れられて久しい感がある。

ジャイキリが「今」面白いと思える所はそこ…長く続いたからこそある閉塞感から逃げていない事にあると感じる。若手の躍進という誰もが、それこそサッカーへの情熱を忘れていた人や関心を持っていなかった人に対してさえ訴求するパワフルな話題に留まらず、選手生命に影を落とす怪我、スランプ、年齢、経験から来る重圧、そして引退といったどうしようもなく重く圧し掛かる現実すらも飲み込み、それでもそれぞれの道を懸命に模索する人間を「サッカーを通して見える世界」として描き切ろうとしている力強さにこそ魅力を感じずにはいられない。これは長く続いたタイトルであるからこそ描ける世界だと言えるものだろうし、こうした世界を描く事が出来る広さと強さを持ったタイトルへと成長した事へ称賛を禁じ得ない。ジャイキリという作品に一つの終点が見えつつある事を感じさせる展開ではあるが、ぜひとも走り切った先の世界を見せて欲しい作品である。

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